2011年2月21日月曜日

選手マネジメント業務の1コマ~スプリング・トレーニング準備編 Part3

5、スプリング・トレーニング開始までの自主トレーニング施設の確保

スプリング・トレーニング開始日の1~2週間前に現地入りし、フロリダやアリゾナの暖かい気候の中で自主トレーニングに励みたいという選手も多くいます。スプリング・トレーニング開始直前に渡米してしまうと、キャンプ序盤の大事な時期に時差調整に苦しんでしまうことになり兼ねないからです。また、時差調整のために早目に渡米しても、降雪の多い寒い地域に住む選手は、やはり怪我を防ぐという意味でも、暖かい気候の中でトレーニングを行いたいと考えています。加えて、日本でよりもアメリカでの方が、人目を気にせず、落ち着いた環境の中でトレーニングに集中出来るのも事実です。これらの理由で、キャンプ地へと先乗りして自主トレーニングを開始したい選手のために、現地でのトレーニング施設を確保することも、私達マネジメント・スタッフの大切な仕事の1つとなります。


メジャーリーガーが使用することとなるキャンプ地の球場は、大抵、スプリング・トレーニングが正式に開幕するまでは使用することが出来ません。しかし、開幕日の7~10日前になると、球団関係者が続々とキャンプ地入りして現地での準備を開始するため、球場に隣接するマイナーリーグのトレーニング施設を開放してくれることが多くなります。


勿論、マイナー施設を利用する場合には、事前に球団関係者に連絡を入れ、使用許可を得る必要があります。従って、私達マネジメント・スタッフは、クラブハウス・マネージャーや、Equipment Manager(野球用具を管理する責任者)と連絡を取り合い、何日の何時から何時まで選手がグラウンドを使用したい、という旨を伝え、許可を得ることになります。


マイナー施設が開放される前に選手が現地入りする場合には、キャンプ地周辺の地元大学を探して連絡し、野球部の監督さんから大学所有の球場使用許可を得ることもあります。アメリカの大学野球部は、立派な球場を所有していることが多いため、選手も素晴らしい環境の中で、自主トレーニングに励むことが出来るのです(野球部員が、選手のトレーニングを見学することはありますが、騒いだり、サインを求めたりすることは非常に稀です)。翌年以降もお世話になる可能性がありますので、自主トレーニング終了後には、勿論、野球部の監督さんや部員の皆さんへのお礼は欠かせません。


また、スプリング・トレーニング前に投球フォームを確認するためにブルペン入りする選手のキャッチャー役を探すこともあります。マイナー施設でトレーニングを行う場合は、球団に連絡することで、ブルペンキャッチャーを用意してもらえますが、地元大学での場合、野球部の大学生キャッチャーにお手伝いを頼むことになります(幸い、弊社インターンの石川君は、元立命館大学野球部員ですので、今年は彼がキャッチャー役を務めてくれました。投げ込みを開始したばかりとは言え、メジャーリーガーの伸びのあるストレート、そして鋭い変化球を防具無しで受け止める石川君は、非常に頼もしく見えました。そして、心なしかいつもよりも笑顔で活き活きしていましたね!)。


メジャーリーグでは投手の投げる球数を厳しく管理したい球団も多いため、そのような球団では、ブルペン・コーチが見守らないとブルペン入りすることも出来ません。従って、マイナー施設で投げ込みを行う場合、事前にブルペン・コーチに選手のブルペン入り時刻を連絡しておくことも忘れては行けません。


球場でのトレーニングだけではなく、ウェイトルームを使用したトレーニングも必要ですので、事前に周辺のフィットネスセンターやジムをリサーチし、十分なトレーニング器具やリカバリーのためのプールがあることを確認した上で、使用許可を取り付けます。


選手が暖かい気候の中、落ち着いた環境でトレーニングを積み重ね、怪我もなく、万全な状態でスプリング・トレーニング開幕を迎えて頂けることが最も重要なことなのです。


(Part4へと続きます)
ニューヨーク・スタッフ 三宮 伸也

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