2011年2月8日火曜日

選手マネジメント業務の1コマ~スプリング・トレーニング準備編 Part1

MLBスプリング・トレーニング開幕まで、いよいよ残す所1週間余りとなりました。選手がスプリング・トレーニング開幕日に合わせて、各地で自主トレーニングに励んでいるこの時期、私達マネジメント・スタッフもスプリング・トレーニングの準備のために、メジャー球団関係者との連絡・調整に追われています。



今回のエントリーでは、スプリング・トレーニング開幕前の1月上旬から2月初旬に掛けて、私達マネジメント・スタッフが具体的にどのような業務を行っているのかを御紹介させて頂きたいと思います。


1、キャンプ地までのフライト予約

メジャー球団には、「Travel Secretary」という、球団の旅行に関する全業務を担当・管理するポジションが存在します。例えば、シーズン中、遠征先での選手や球団スタッフのホテルの部屋を確保・予約するのは、Travel Secretaryの仕事です。スプリング・トレーニング前の1月上旬から2月初旬に掛けて、私達マネジメント・スタッフが最も頻繁に連絡を取り合うのも、このTravel Secretaryとなります。


キャンプ地入りのフライトを予約するには、Travel Secretaryに選手側の希望(航空会社、フライト日程、経由地、窓側 or 通路側の座席希望など)を伝え、球団から直接予約してもらうか、あるいはこちらで選手の希望するフライトを予約してしまい、後から球団に領収書を提出して、フライト代を払い戻してもらうという2つの方法があります(MLB労使協定により、メジャー選手の居住地からキャンプ地までのフライト代は、球団がビジネスクラス分を負担するという取り決めになっています)。


メジャー選手の場合、後からフライト日程を変更しやすいというメリットのある後者の方法を選択する場合が多いため、私達マネジメント・スタッフは、先ず、普段からお世話になっている旅行代理店様に渡米フライトの手配をお願いします。そして、領収書をしっかりと保管し、スプリング・トレーニング期間中に球団へと提出し、フライト代を払い戻してもらうという流れが滞りなく進むように心掛けています。


2、キャンプ地での滞在先確保

キャンプ地周辺には、メジャー球団と提携しているホテルやコンドミニアムがあり、これらの部屋は球団割引で予約することが出来ます。選手のみが宿泊するのであればホテルを予約することが多いですし、御家族と一緒にキャンプ地入りされる選手には、より広いコンドミニアムを予約します。


こちらも各球団のTravel Secretaryに、選手からの希望(ホテル or コンドミニアム、1 Bed Room or 2 Bed Room、入居希望日など)を伝え、球団を通して予約してもらいます。コンドミニアムを予約した場合、選手がキャンプ地に到着後、スムーズにチェックイン出来るよう、事前に部屋の鍵の受け渡しについて、Travel Secretaryとしっかり打ち合わせしておくことが重要です(大抵の場合、キャンプ地の拠点となる球場で、Travel Secretaryから直接手渡してもらうことが多いです)。


3、 キャンプ地での移動手段確保

レンタカーを予約する場合ですが、滞在先確保の場合と同様に、メジャー球団と提携しているレンタカー会社があり、球団割引で予約することが出来ます。選手からの希望(Sedanタイプ or SUVタイプ、標準 or 大きめのサイズ、レンタル期間など)をTravel Secretaryに伝え、球団を通して予約してもらいます。


レンタカーの受け取り場所に関しては、大抵の場合、空港、あるいは球場の選手専用駐車場を選択することが出来ます。空港を選択した場合、必ず選手のフライト情報をTravel Secretaryと共有し、選手の搭乗したフライトが空港に到着した時には、レンタカーが用意されているように手配してもらいます。


また、球場の選手専用駐車場での受け取りを選択した場合には、空港まで球団関係者(日本人選手の場合には通訳の方が多いです)に選手を迎えに来てもらい、球場まで送迎してもらえるように手配します。いずれの場合も、Travel Secretaryを始めとする球団関係者の方々と、普段から綿密に連絡を取り合っておくことが大切です。


もう一つは、選手の自家用車をキャンプ地まで大型トラックで輸送してしまうという方法もあります。スプリング・トレーニング期間中(2月中旬から3月一杯までの約1ヶ月半)ずっとレンタカーを借りるよりも、費用が低く抑えられる事が多く、尚且つ輸送する車の中に野球用具や生活必需品等の荷物を入れる事が出来るため、キャンプ地入りする際の手荷物量も少なくなるというメリットがあります。従って、大抵の場合には、選手の自家用車をキャンプ地までトラック輸送する方法を選ぶことが多くなります。この場合は、球団を通すというよりも、輸送会社に直接連絡し、値段交渉から、輸送トラックの予約、車の引き渡し、途中の輸送状況確認などを責任持って行います。選手の大事な車ですので、事前にキズのチェックなども入念に行い、輸送中に新たなキズが増えていないかも確認します。輸送先は、キャンプ地の拠点となる球場とし、事前にTravel Secretaryに連絡を入れておき、無事に球場に選手の車が届き次第、連絡をもらえるようにお願いしておくことも重要です。



次回のエントリーでは、スプリング・トレーニング準備編Part2としまして、今回ご紹介した以外の業務について書かせて頂きたいと思います。


全てはクライアントが安心してキャンプ地入りし、スプリング・トレーニング開幕を万全な状態で迎えて頂くためです。これからも全力で選手のサポートを行わせて頂きます!


(ニューヨーク・スタッフ 三宮 伸也)

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