2013年6月30日日曜日

『ブラジリアン柔術』道場見学 ~ Hollywood Brazilian Jiu Jitsu ~


インターンの波多野です。

前回のブログを更新してから、しばらく間が空いてしまいましたが…
今回は、ロサンゼルスに着いてからルームメートになった高知県出身の孝哉君の活動について紹介したいと思います。『ブラジリアン柔術』という日本では馴染みのない競技ですが、練習見学や、彼への取材を進める事で少しでも日本の方に知って頂きたいと思うようになりました。

それでは、孝哉君の活動と彼の掲げる『夢』をインタビューという形で紹介したいと思います。

                                 練習後に道場にて1枚(孝哉:写真左)

Q. 今までに柔術以外のスポーツに挑戦した事はありましたか? そして、なぜブラジリアン柔術という競技を選んだのですか?

これまでにも空手・バスケットボール・レスリングと… 他のスポーツを経験していましたが、日本で人気を誇る『PRIDE(プライド)』が大好きで、高校生の時にテレビで観た『アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ VS ミルコ・クロコップ』の1戦で人生が大きく変わりました。 その一戦で勝った、ノゲイラ選手の『腕挫十時固(うでひしぎじゅうじがため)』を観た瞬間、柔術を学びたいと思いました。

Q. 地元・高知でも活動していましたか?

高知では道場が1部屋しかないというのが現状で、週1回程度の練習をしていました。 

Q.  なぜアメリカに来る事になったのですか?

高校卒業後にカナダへの留学を考えるようになりました。その理由には、ワーキングホリデーを利用しての留学(1年)が可能だったからです。柔術のトレーニングをする為にカナダのトロントへと留学しました。その後は日本に帰国し、留学費用を貯め、アメリカへの留学を決意しました。カリフォルニアを目的地に選んだのは、3年前から世界大会(ムンジアル)が行われる程ブラジリアン柔術が盛んだからです。

       講師のAndy Donovanさんから指導を受ける孝哉君

Q.  カリフォルニアというブラジリアン柔術の盛んな都市で、なぜ『ハリウッド ブラジリアン柔術』の道場を選んだのですか?


56カ所の道場へ出稽古に向かいましたが、練習のレベルが自分に合っていると思ったのが『ハリウッド ブラジリアン柔術』の道場でした。 ブラジリアン柔術で有名な、ビル・クーパーさん(Bill Cooper)、ジェフ・グローバーさん(Jeff Glover)、そしてヘンリー・エイキンスさん(Henry Akins)が先生としてクラスをオファーしていたのも魅力の一つでした。

Q. 道場で唯一の日本人として、何か苦労した事などあれば教えて下さい。

柔術は、元々日本発祥のスポーツということもあり、道場に来る方も『日本人』という事に興味を持ってくれた他、短期間で練習にも馴染む事が出来たと思います。

Q. 今までに大会への出場経験もあるのですか?

カナダに留学中には、オンタリオ・オープンに出場しました。今後も、今年11月にカリフォルニアで開催される世界大会への出場を考えています。僕が競うのは70kg以下の紫帯のクラスで、出場者数も1番多いクラスでの出場となります。

                練習後には相手をしてくれた選手との熱い握手を交わします

Q. 帯の色が『紫』ということですが、どのように帯の色が変わるのですか?

帯の色は『白→青→紫→茶→黒』という順になっています。柔術には昇段試験というものが無い為、年に2回(6月か12月)にあるベルトプロモーションにて道場の方の判断により帯が与えられます。試合での戦績や、練習でのレベルの判断も昇段の大きな判断要素となっています。

Q. 今後の目標・夢などがあれば教えて下さい。

今の目標は『黒帯』を取る事です。そして、時間はかかるかも知れませんが、将来は自分の道場をアメリカか、地元・高知に作りたいと考えています。柔術だけを教える道場が地元・高知にないのが大きな理由の1つです。

その他にも、自分のブランドの立ち上げるのも1つの目標です。


Q.  ブランドとは、具体的にどのようなブランドを意味するのですか?

柔術では、道着にブランドやスポンサーのタグが付いている事があります。最近は、選手が個人でブランドを立ち上げる事も多く、自分もブランドを作りたいと考えています。

                             練習後にも、道着を使い握力を鍛える孝哉君

孝哉君の今後に期待すると同時に、こうして『ブラジリアン柔術』というスポーツを知る機会を与えてくれた彼に感謝したいと思います。

今後も、自分が関わった事のないスポーツを取材する事で、日本の方にも情報発信していければと考えています。

波多野

2013年6月28日金曜日

インタビュー #002 波多野陽介さん


アメリカのスポーツ界に関わり、活躍している様々な分野の方にインタビューを実施してまいります。

第2弾は弊社インターンの波多野さんです。


波多野 陽介 / ウェイン州立大学スポーツマネジメント専攻 2013年卒業


波多野さんは広島県出身で、高校卒業した後アメリカに渡り、大学でスポーツマネジメントの学位を取得して、現在はADMの インターンとしてスポーツビジネスの現場に立っています。


Q. まずは、これまでの経歴を伺いたいと思います。
なぜアメリカの大学に進むことを決めたのでしょうか?

自分のしたい事を二つの言語で勉強できるということで、これからの人生を考えたときに選択肢が広がると思ったからです。

ただ、高校時代の時から留学に行っていた経験もあり、イギリスも考えたのですが、アメリカの大学では奨学金制度が整っていた為、アメリカの大学に進む事を決めました。


Q. 今年の5月に卒業したようですが、大学はどのように決めたのですか?

ケンタッキーの大学に付属するESL (English as a Second Language)で一年英語を勉強した後、その大学で学部生として1年半過ごしましたね。

その頃は、インテリアデザインの勉強をしようと考えていて、ノースダコタ州立大学に編入しました。その大学のインテリアデザインと建築のレベルが高く、すばらしい環境でした。


Q. インテリアデザインを専攻しようと考えていたのですね。
どのタイミングでスポーツの勉強をしようと思ったのでしょうか?

ノースダコタ州立大学編入後、中学・高校時代にとてもお世話になったバレー部のコーチが亡くなりました。その日が自分の誕生日だったこともあり、なにか運命的なものを感じて、改めてその人に教わったものを継いで行きたいと思うようになりました。


Q. 中学高校ではずっとバレーをしていたのですか?

小学3年のころからバレーを続けていて、その中学・高校でバレーを続ける事にしたのもその監督に声をかけてもらったことがきっかけです。


スポーツの道を目指そうと思った時、コーチングという専攻はアメリカの学部にはなく、副専攻の一つにしかないため、Exercise Science(エクササイズサイエンス)専攻でコーチングを副専攻にしようと考えました。
その後、スポーツマネジメントという学部がある事を知り、これからの スポーツ発展の為に必要となってくる学問を学ぶことに決めました。


Q. アメリカの大学は専攻を在学中に変える事ができるのが良いシステムですよね。

そうですね、日本だと変える事は難しいですからね・・・


Q. 卒業した大学へは、なぜ編入したのでしょうか?

ネブラスカ州にあるウェイン州立大学というところに編入したのですが、それは大学の持つネットワークの広さや、スポーツマネジメントを学ぶ環境や内容もとめての決断でした。

それまでに一般教養の単位はほとんど取り終えていたので、そこでは2年間スポーツマネジメントを中心に学びました。


Q. スポーツマネジメントというと、日本ではまだマイナーな学問なイメージですよね。

アメリカでは多くの大学にある専攻ですし、スポーツ産業に関わる事は全てと言って良い程、スポーツマネジメントに関係してくるので、広く視野を持てる選択肢としてこの学部を選ぶ事にしました。


Q. スポーツ産業の規模が全然違うのが大きい理由ですね。
スポーツマネジメントでは、どのような事を学ぶのでしょうか?

Public Relation(PR・パブリックリレーション)の授業では、記者会見の開き方や出版社・記者について、 Facility Management(施設運営)の授業では、施設の設計規準(American Disability Act.等)であったり、施設の管理やマネジメント、施設使用料の設定やプロモーションなどを学びました。
授業では実際に施設を視察しにいき実際の様子や改善点を自らあげて発表するというプロジェクトもありました。


Q. 面白そうですね。他にはどのような科目があるのでしょう?

スポーツマーケティングの授業では、スポーツのイベントの企画をゼロからグループで考えるプロジェクトを行ったり、実際のイベントのポスターの作成も行いました。

スポーツ法学(Sports Law)のクラスでは、チーム遠征中の事故の責任問題や、実力が違うふたつのチームの試合の問題、さらにはスポーツギャンブルやチーム内暴力やいじめについての法律も勉強しました。

スポーツライティング(Sports Writing)のクラスのプロジェクトとして、学校のスポーツチームの試合について、学校内の新聞に掲載される記事を書きました。


Q. その時は取材も自分で行ったのですか?

そうですね、そのときはアメリカから90チームが集まったラグビーの大会もあり、自分の大学の様子を監督やコーチに取材をしながら記事を作成していきました。バレーボール部でインターンをさせて頂く事となったのも、そのクラスでバレー関係の記事を担当した事で、バレー部の監督と話す事が出来た理由です。


Q. スポーツマネジメントの学位をとり終えて卒業した学生たちは、卒業後どのような進路を選択するのでしょうか?

自分の大学の卒業生は、MLB(大リーグ)やNFL(アメフト)のチームで働いている人や、大学のAthletic Department で大学スポーツに関わって仕事をしている人も多いです。


Q. 学校外での活動などは?

PGA(プロゴルフツアー)の一つ下の、Web.comツアーで大会運営に関わるインターンをしました。このツアー の上位25人がPGAに出る事ができるという、いわば若手選手の登竜門のようなツアーでした。

そこでは、コースやファンの通る歩道を設置したり、スコアをもって選手と共にラウンドを回ったり、スポンサーの広告設置等、大会中だけではなく大会前後も含めて運営に関わる仕事をしました。
15日間で220時間という、今考えるととても辛い地道な仕事でしたが、こういう人たちがいて初めてスポーツの試合が成り立つという事を実感した、とてもスポーツの基礎を学べたとても良い経験になりました。


Q. アメリカでの生活が約6年になりますが、これまでに苦労してきたことや、印象に残っていることはありますか?

英語力の向上と、生活上での色々な手続きに苦労しましたね。


Q.日本と全く違いますもんね・・

特に免許や保険などの手続きはいまでは全く苦労せずにできるようになりましたが、留学当時は電話での英語でのやり取りも苦手でした。しかし、カスタマーサービスへの電話や、友達との電話をする事で、苦手を克服していったのも事実です。


Q. アメリカ生活で印象に残っている事などはありますか?

ウェイン州立大学への編入は、Youtubeにあった大学のスポーツマネジメント学部のビデオを見て決めたのですが、その動画に出ていた大学の教授に編入後お世話になりました。ウェイン州立大学のスポーツマネジメント学部に編入したとき、留学生は自分ひとりで、初めての留学生だったのですが、卒業するときに「今までの卒業生のなかで一番優秀だったし、どこにでも送り出せる」とその教授に言われて、とても嬉しかったです。

それは、心強い言葉ですね。
これからのスポーツ界での活躍期待しています!
ありがとうございました!

2013年6月20日木曜日

インタビュー #001 浅野勝成さん (後編)


昨日に引き続き、浅野さんへのインタビューです!




Q. 今のインターンはどのようなことをやっているのでしょうか?

 ハーバード大学アメリカンフットボール、男女アイスホッケー、12 - 17歳を対象とした、サマートレーニングキャンプにて、アスリートや子供達へのトレーニング指導をさせて頂いております。 その他に、インターン生は夏の間に宿題があり、書物を読んだりして、その感想のペーパーを書いたり、トレーニングのプログラミングなどを勉強します。


Q. 今までの大学のインターンだと、小さい子への指導などは行っていないですよね?
     なにかこれまでとの違いであったり、感じた事などはありますか?

ミズーリの大学では子供への指導は行っていません。ですので、ハーバードで子供達への指導というのは物凄く新鮮です。子供達に指導をすることで、自分の未熟さを知り、とても勉強になります。子供達はウエイトトレーニングを経験したことがない、あったとしても、そこまで深くは経験していないです。ですので、子供達一人一人の人生で最初のストレングスコーチになるということです。つまり、分かりやすい説明をしながら、しっかりとしたフォームを作らせ、トレーニングは有意義な物だと思ってもらうことが目的です。フォーム指導が本当に難しいですが、彼らが自分の直すべきコーチングポイントを分からせてくれます。
また、ユーモア溢れるコーチでないと子供達はついてきません。ですので、積極的にコミュニケーションを取るように心がけています。自分の勉強にとてもなるので、子供達には本当に感謝です。


Q. なぜ、そこでインターンをしようと思ったのですか?

理由は5つあります。

ハーバード大には自分が在籍している大学よりもスポーツチームが豊富
トレーニング施設が大きい
トレーニングの考え方に同意
ハーバードやMITといった大学を持つボストンは、世界中から優秀な人材が集まる場所であり、その中に身を起き、色々な世界を見たい・刺激を貰いたい
単純にハーバードが魅力的であり、東海岸に行ったことがないから
...です。


Q. 実際に行ってみて、ボストンはどうですか?

まだ1か月程しか滞在していませんが、ボストンでは様々な分野で成功を目指している学生と出会う機会が多いです。分野は違えど目指す物に突き進む力のある人との出会いは、自分の目標実現に対して、大きな刺激となっています。これからの2か月で、さらに良い出会いがあればと思います。


Q. ハーバード大学でインターンを実際にやってみて、大学でやっていたインターンの違うところはありますか?

トレーニングに対する考え方は全く変わりません。ただ、自分の大学では、フルタイムのスタッフは1人であとはGA(Graduate Assistantという大学院生のコーチ)だけですが、ハーバードではフルタイムのスタッフは4人います。それぞれのコーチングスタイルが全て、自分には勉強になっています。また、自分の大学とは違い、ハーバードでは自分を含めて4人のインターン生がいます。彼らと、お互いに切磋琢磨して勉強していけることが、とても良い環境だと思います。



Q. 在籍している大学での経験は活きていますか?

もちろん、2年半の大学での経験はすごく活きています。むしろ、この経験がなかったら、ハーバード大でインターンは絶対になかったです。



Q. アメリカでの生活が約4年になりますが、これまでに苦労してきたことや、印象に残っていることはありますか?

とにかく英語ですね。授業、インターン、自主的に行う勉強、コミュニケーションなど、英語に関しては今でも苦労しています。ある程度のユーモアもないと、アメリカでは通用しないと思うのですが、英語のジョークなどは理解もできないし、言えません笑 

印象深いことは、大学でのインターンでアスリートたちに“we are going to do vertical jump test today (今日は垂直跳びのテストを行います)”と言ったのですが、肝心の”vertical jump”の部分の発音が悪く、全然伝えられず、咄嗟に”testing how height you can jump (どのくらい跳べるかのテストをする)”と言い方を変えて言ったら、すぐ理解してくれました。英語でもちょっとでも伝え方を変えれば、簡単に説明できるし、伝わりやすいということを学びました。


Q. これからどのような道を目指す予定ですか?

今は、バスケットボールに携わるストレングスコーチを目指しています。
大学卒業後は、3つの道を考えていて、
1. 卒業後にすぐにGAとして大学院に行く
2. 卒業後に、1年間のOPTをしてから大学院にGAとして行く
3. 卒業後に、一度日本に帰り、仕事をして、お金を貯めてから大学院へ再留学する

希望としては12のどちらかですが、自分の希望する所と合えば、可能な限りどこへでも行かせて頂きます。


Q. 一番の目標はありますか?

これからも勉強・経験を積んでいき、ストレングスコーチとして日本のバスケットボール界の発展(男女)をさせることです。また、トレーニングの観点から日本人NBA・WNBA選手を育てあげることが目標です。


Q. 日本にいる、トレーナーやコンディショニングコーチなどを目指す人たちにアドバイスがあれば....

自分もまだまだ未熟な学生ですが….
自分から言えることは、この業界で、英語は絶対に必須だと思います。トレーニング関係の情報は、英語での物が圧倒的に多く、日本語に翻訳されている物も、元は英語です。トレーナーこそ、日々の勉強が大事です。英語でトレーニングを勉強していかなければいけない時代になってきていると思います。
もし、インターンなどで経験を積める場合は、そこに導いてくれた人や、その周りを取り囲む人々への感謝の気持ちを忘れずに、経験を積んでいくことです。
最後に、“田舎にいるから学べない”とか“お金がない”とかいう理由で自ら進んでいかない人をたくさんいます。環境は自分で作る物です。自分が今いる環境に愚痴を言う前に、その場所で精一杯何かを成し遂げれば良いんです。そうすれば、次への道は開き、それが大きな成功へ繋がると信じています。


お忙しい中、ありがとうございました!




2013年6月19日水曜日

インタビュー #001 浅野勝成さん (前編)


アメリカのスポーツ界に関わり、活躍している様々な分野の方にインタビューを実施してまいります。第一弾は弊社のフログにも寄稿頂いている浅野勝成さんです。


浅野勝成さん / Harvard Crimson Strength and Conditioning Summer Intern
Southeast Missouri State University 在籍


浅野勝成さんは仙台出身で、高校卒業した後アメリカに渡り、大学でStrength & Conditioning Coachを目指して勉強をしています。
これからスポーツの分野で留学を志している人達への参考になればという思いから、弊社の学生ブロガーとして経験や情報の発信をしていただいています。


トレーナーを目指す人だけではなく、海外での挑戦という意味でもすばらしいお話を聞く事ができました。
少し長くなったので、2回に分けてお届けしようと思います。




Q. まずは、これまでの経歴について伺います。
なぜアメリカの大学に進むことを決めたのでしょうか?

元々、英語には興味があり、そして将来はトレーナーとして働きたいと思っていました。高校2年時に、男子バスケ部にアメリカで学んできたアスレチックトレーナーが帯同して頂くことになりました。その方から、いろいろと話を聞かせてもらい、アメリカ留学に進むことを決めました。


Q. トレーナーとして働きたいと思ったきっかけのようなものはあるのでしょうか?

中学2年の時に、バスケットの試合中に左膝を大怪我したことがあります。そこから左膝だけで3度も手術を経験しました。その後、リハビリとしてスポーツジムに通い始め、そこでウエイトトレーニングと出会いました。現役復帰してからもジムに通い、トレーニングを続けていたことから、トレーナーに興味を持ちました。


Q. 中学・高校時代はバスケを?

高校は宮城県にある私立明成高等学校に通い、男子バスケットボール部の第1期生として活動していました。 とにかく、毎日が練習やトレーニングの日々でした。選手としては未熟のまま3年間が過ぎ、3年間で4試合だけ試合に出場させて頂きました。試合メンバーほど苦労はしていませんが、この3年間の苦労を超える経験は、アメリカ留学をしていてもありません。特に1年生時が一番苦労しました。それが今は良い経験として生きています。


Q. これまでの大学生活はどんな事をしていましたか?

最初の1年半はワイオミング州にある、Western Wyoming Community Collegeという短大で過ごしました。留学生がいない土地ですので、英会話力は格段に上がりました。20111月に、ミズーリ州にあるSoutheast Missouri State Universityに編入しました。編入してからの1学期目から、大学アスレチックスのストレングス&コンディショニングプログラムにて、ボランティアとしてインターンを開始しました。それから2年半はインターンを続けました。

今は、マサチューセッツ州にある、Harvard Universityでストレングス&コンディショニングでのサマーインターンとして活動しています。



Q. 大学では主にどんな勉強をしていたのでしょうか?

専攻はExercise Science(運動科学)で副専攻がNutrition(栄養学)です。解剖生理学から始まり、運動生理学、運動力学、スポーツ栄養学、統計学、スポーツ施設マネジメントなどを授業で履修し、上記のボランティアとしてのインターンでトレーニング指導の経験を積みました。それ以外にも、自主的に、トレーニング関係の本やDVD、論文を読んだりもします。

授業は、解剖生理学を英語で勉強することが一番苦痛でした。インターンも、最初の頃は学生アスリートとコミュニケーションが取れなかったのが大変でした。しかし、上記の2つは、自分で問題点を把握し、改善するよう日々アプローチをしていけば、少しずつですが自分の望む場所へ導いてくれます。

あとは、日本人として誇りを持ってインターンの仕事を行うことが大事だと思いました。これは留学前に日本でアルバイトをしていた経験が活きました。細かい所まで配慮する、次の仕事を予測して動く、準備は怠らないなどのことを徹底してやっていれば、良い仕事ができ、良いチャンスが巡ってきます。



Q. 高校時代の経験も含めて、留学前の経験が活きているんですね!
  日本人としての誇りをもつ、というのは例えばどういったことでしょうか?

全てのアメリカ人ではないですが、大学のインターン先では、朝清掃を怠る、ルールを破る、アスリートと喋ってばかりなど、仕事ができない人を多く見てきました。また、そういった彼らに、アジア人というだけで侮辱をされることもありました。 その中では、日本人であることを誇りに思い、自分のできる仕事を行ってきました。その結果が今の自分を作ってくれました。


Q. 日本人としての誇りというものを、浅野さんはどう考えていますか?

異国の地でマイノリティとして働くということは容易ではないです。周りと調和しながら、自分らしさを出していかないと生きていけないと思います。ここでの日本人としての誇りとは、自分が今までに日本で学んできたこと、仕事や勉強に対する姿勢を周りに流されずに貫いていくことであり、その学んできた過程と人々に感謝をしながら、自分らしく成長していくことだと思います。諺にもある、“実るほど、頭を垂れる稲穂かな”のように、成長すればするほど、それを取り巻く環境と人に感謝していかなければならない。これこそが日本人としての誇りを持った行動であると考えています。



後編につづく….


(後編は、ハーバード大学でのインターンを含めた、トレーナーを目指している浅野さんから、いままでの貴重な経験についてお話していただきます。)