2010年10月28日木曜日

何を成し遂げたいのか。

「スポーツ産業で働きたいのなら一度社会に出て経験やスキルを身につけてからの方がいい」

アメリカに来て様々な方からお話を伺う中でこのようなことはみなさん共通して言われています。この背景には特に日本のプロスポーツ球団などは組織の規模で言えば中小であり新人を育てる環境にはなく新卒を雇うわけにはいかない、ということがあると思います。確かにこの考えは納得できます。いくらスポーツビジネスを学んでいるとはいえいきなり社会に出て経験がある人たちと競い合えるか、と言われたら正直なところ「?」がついてしまうからです。

一方で日本の一般企業は(技術系は別として)新卒を雇うときに現在持っているスキルを重視するのではなくその人が持っている素質や姿勢、今まで取り組んできたことを見て判断し、入社してから一から育て上げるという環境があります。いわゆる「ポテンシャル採用」というやつです。

このような背景から、社会人として一から学び成長してからスポーツ産業で活躍したほうがいいということを現在スポーツ産業で働いている方々は言われているのでしょう。


最近はこのようなことを考え、自分は近い将来どのような方向へ進むべきなのかということを常に考えています。そして先日自分の可能性を広げるために毎年開催されているボストンキャリアフォーラムに参加してきました。このフォーラムはアメリカで行われているものの中で最大のもので今年は132社の企業が参加されていました。業界は金融、総合商社、広告代理店、各種メーカー等さまざまです。自分の可能性を広げるためと書きまししたが「とりあえず参加していろいろな企業の話を聞いてみよう」といった軽い気持ちで参加してみたのが正直なところです。しかし3日間参加してみていろいろなことを感じることができました。

某総合商社のセミナーでの1コマです。人事の方がその企業の考え方として「世界のニーズを読みそれを取り入れビジネスに繋げていく。新しいことでも可能性があるならば積極的にビジネスにしていく。」といったことを言われていました。そしてその後の質疑応答のセクションではあるスポーツビジネスを学んでいる学生が「私はスポーツビジネスを勉強しているのですが、自転車に興味があります。たとえば現在東京オリンピックの招致活動を行っていますがそこでエコと自転車を繋げて何かビジネスにするというアイディアはどうでしょうか?」といった質問をしました。企業の方は「アイディアとしてはいいと思うがなぜ自転車を使わなきゃならないのか、それをどうビジネスに繋げられるのか、そのあたりを論理的に周囲に説得できるまでアイディアを詰めていかなければならない。」といったことを言われていました。

また某広告代理店のセミナーでは某総合電気メーカーとの共同プロジェクト「Earth F.C.」を紹介していました。「世界には未だにテレビが普及していない地域がある。その地域の子供たちはワールドカップに出場している自分の国の応援さえできない。その子供たちにワールドカップの感動を届けよう。」といったコンセプトのもとプロジェクトは実行されたそうです。

他にもスポーツとは全く関係のない企業の方にもお話を伺ったりもしました。自分自身の方向性はまだ定まっていませんでしたがいくつか面接も受けてみました。不思議なものでいろいろな方にお話を伺ったり面接で上手くいったりいかなかったりすると自分の中で新しい感情や思うことも増えてきます。今回のフォーラムを経験して一番大切だと感じたことは、「自分は何をしたいのか、何を成し遂げたいのか。そしてその成し遂げたいことを達成するためにはどの環境に自分を置くべきなのか」ということです。自分が本当にしたいことをもう一度考え、そのためには何が必要なのか。極端に言えばその成し遂げたいことが個人でできてしまうことならば就職などする必要はないのではないか。このようなことを感じました。それと同時に自分はスポーツの何に魅力を感じ何を成し遂げたくて勉強しているのかということを改めて考えるいい機会になりました。

まだまだ将来に向けあがきもがいている段階ですが、今回の経験で自分にとっての「社会に出る理由」への方向性が定まったような気がします。今後はその方向性に沿って自分が行き着くべき場所を一つずつ探り当てて行く作業を行っていきたいと思います。


明石貴祐
サザンニューハンプシャー大学
M.S in Sport Management

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