一生忘れないであろうスポーツ選手が1人いる。
大学生活を含め、数えきれない選手を相手にするのが仕事、Athletic Trainer。
すごく礼儀正しい選手、ムードメーカーな明るい選手、自分の怪我に悲観的な選手、信頼してくれる選手、そう、文字通り十人十色。
今まで大学のチームや、プロサッカー(MLS)、プロアメフト(NFL)大好きな選手に沢山会ってきた。彼らに共通して言えること、人を思いやる気持ちが強いということ。
すなわち、“ありがとう”と“ごめんなさい”が、すっと口から出せること。
これは上のレベルに行けばいくほど、そういった選手の層が厚いことに気付いた。トップレベルの選手こそ、天狗になりがちという先入観とは裏腹に。
川田圭介という人間を根本から変えるきっかけを与えてくれた選手。
そう、感謝してもしきれない、一生忘れることはないであろう選手が1人。
Major League SoccerのKansas City Wizardsで出会った背番号11番Kurt Morsink。
まだまだ未熟な僕では、人間の器量など容易く測れるわけはないが、Morsinkは別格のように映った。
習いたて、見よう見まねの覚束ない手つきの僕に文句一つ漏らさず、
毎朝“Hey Kei, Let’s do this!!”と言ってくれたMorsink。
手徒治療にも少し慣れてきた時、すかさず褒めてくれたMorsink。
冗談混じりな会話にも、心の底では僕を信じてくれている、そう感じさせてくれた、そんな選手。
Wizardsでのインターン中に色んな意味で成長できたのも、Morsinkという選手が練習日も、試合当日も相も変わらず僕を頼ってくれたからであろう。
インターン最終日、Morsinkから彼の11番のサインとメッセージ入りのユニフォームをもらった時の感動。あの感覚は一生忘れることはないであろう。
本当に大事なことを教えてもらった。
できない人を批評し理不尽に見下すのは誰にだってできる。
だが、もしその人がただの経験不足なだけで、凄い可能性を秘めている人だったら?
“少しの辛抱と褒め言葉”。そう、それこそが人を劇的に変えるきっかけ。
留学1年目の友達に一声“英語上手くなったな!”と。
新入りの美容師さんに文句ではなく、笑顔で“ありがとう”と。
将来について悩んでいる友達に、駄目出しではなく“5年後、誰よりも幸せになれる道を”と。
言われた側に立つと分かる、一語一句の重み。
留学当初、アメリカ人に言われた“英語上手くなったな”そのお世辞一言で、2倍は上手くなった覚えがある。
恐る恐るMorsinkのハムストリングを手徒治療した後の、“Thanks Kei!”その一言で、この仕事が大好きになった瞬間。
勉強よりも、車よりも、服装よりも、何よりも大切にしたいもの、相手を思いやれる気持ち。それを自然と僕に気付かせてくれた、それが自然とできる選手、Kurt Morsink。
人生の醍醐味、それは邂逅。
出会いは僕をもう一つ上へ。そう、もう一つ、もう一つ。
川田圭介
Henderson State University
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