2012年1月30日月曜日

アメリカ東部スポーツビジネス研修プログラム振り返りレポート7~Major League Soccer Philadelphia Union


7回を迎えました振り返りレポートですが、今回は14日(水曜日)の午前中に訪問しました、Major League Soccer Philadelphia Unionについてご紹介させて頂きます。


Philadelphia Unionのチーム史、及び本拠地PPL Parkの基本情報に関しましては、「視察・訪問先ご紹介②」に書いておりますので、是非そちらをご参照下さい。


私達が研修プログラム内の訪問先にPhiladelphia Unionを含めたのには、2つの理由があります。


1つ目は、現在の日本スポーツ界では、地方にフランチャイズを置く日本プロ野球のパ・リーグ球団や、全国各地にチームがあるJリーグ、bjリーグの人気が高まっており、長年続いて来た東京を中心とした首都圏一極集中型モデルが崩れつつある、と私達は感じているからです。勿論、最先端のエンターテイメントが集結する世界一の大都市ニューヨークで、ファンを魅了し続けるMLBニューヨーク・ヤンキースやNFLリーグオフィスが実践するスポーツビジネスの現場に触れる事は、とても重要なことです。ただ、それと同じくらい、ニューヨークとアメリカの首都ワシントンDCの間に存在するフィラデルフィアやボルティモアで実践されている、地方都市ならではのフランチャイズ経営と、スポーツを通した地域振興を学ぶ事が重要であり、これからの日本スポーツ界が健全発展するための大きなヒントが潜んでいる、と考えております。


2つ目は、現在日本でスポーツ経営学を専攻する学生様にとって、卒業後にいきなり東京読売巨人軍や浦和レッドダイヤモンズといった、日本スポーツ界におけるメジャー球団に就職する可能性は低いのではないか、と考えているからです。それよりも先ずはJ2bjリーグ、野球の独立リーグといったチームに就職する可能性が高いのではないでしょうか。それを考えると、MLBNFLNBANHLといったアメリカ4大メジャースポーツ球団を訪問する事以上に、アメリカではまだまだマイナースポーツと見なされているMLS Philadelphia Unionの球団オフィスを訪問し、チームスタッフの方から、チームが取り組んでいる創意工夫を凝らした球団経営法を学ぶ事は、卒業後に限られた予算で運営されるチームに就職するであろう学生様にとって、非常に有益な学びの場になる、と思います。


上記2点の狙いを参加者の皆様にご説明させて頂いた後、早速私達は、マーケティング&コミュニティー部門副責任者Cara Joftis氏のご案内の下、本拠地PPL Parkを視察致しました。


【こちらがMLSチームPhiladelphia Unionの本拠地PPL Parkの概観です!】



 【先ずはUnionのロッカールーム内から視察致しました。フラットTVが設置されているなど、アウエーチームのロッカールーム内とは比較にならない豪華さ&広さでした!】


Union側のロッカールームには、室内練習場も併設されています】


【続いて、こちらは記者会見場です。現在はオフシーズンのため何も飾られておりませんが、シーズン中は壇上の後ろの壁に、チームエンブレムやスポンサーロゴが飾られており、監督や選手のインタビュー時に、ばっちりとTVに映るようになっているそうです。参加者の皆様も壇上に上がり、インタビューされる選手の気分を味わっておりました!】


【スイートルーム内にも潜入です!】


【こちらがPPL Parkのスイートルームからの眺めです。フィールド内が一望出来ますね!】



【スイートルーム内部です。最大30名まで収容可能な広さを誇ります】


【スイートルーム内からも臨む事の出来る、デラウエア川上に架かるCommodore Barry Bridgeの壮大な景色が、地元ファンを楽しませてくれます】


【こちらの「Union Party Decks」と呼ばれる貸し切りスペースでは、最大120名がBBQを楽しみながら試合を観戦する事が出来ます】


【スタジアム外の芝生エリアを活用して、毎ゲーム前には、バンドによる生演奏やファンによるBBQが行われているそうです】


【マイナースポーツチームにとっては、いかにメディアに取り上げてもらい、ポジティブな記事を書いてもらえるか、が非常に重要になります。Unionではメディア専用ダイニングルームをスタジアム内に設置しており、無料でメディア関係者に食事を振舞っているそうです】


【音楽を流したり、スコアボードにメッセージを表示させたりして、スタジアム内のファンを盛り上げる役割を果たすPAルームです。ゲーム開催時には、この中で約20人のスタッフが働いているそうです】


【こちらは試合後にUnionの選手達が食事を取る部屋です。レザーソファの座り心地が最高でした!】


【試合後に食事を食べ終わった選手達は、こちらのスペースでファンクラブ会員やシーズンチケットホルダーとの交流を図ったり、即席サイン会を行ったりしているそうです。選手とファンのこの距離感の近さが、マイナースポーツの素晴らしさですね!】



【こちらのスペースでは、試合前後に監督と選手が集まってミーティングが行われているそうです】


PPL Park内を一通り視察した後は、Cara Joftis氏より、Unionが実践する地域密着型球団経営についての講義を受けました。以下、講義内容を要約しますと、

  • Unionは、同じフィラデルフィアをフランチャイズとする4大メジャースポーツチーム(MLBフィリーズ、NFLイーグルス、NBAセブンティーシクサーズ、NHLフライヤーズ)とパートナーシップ契約を結んでおり、競合して限られたファンを奪い合うよりも、協力して地域全体を盛り上げようと試みています。
  • Unionの公式戦が行われないオフシーズン期間には、地元ヴィラナノバ大学のアメフト試合や地元市民のためのコンサートなど、地域に密着したイベントをPPL Park内で開催し、それによりスタジアムの稼働率を高めています。
  • PPL Parkは、命名権(10年間で2000万ドル)を結ぶ電力会社PPL EnergyPlusからの協力の下、MLSで唯一、水力と風力発電が産み出す再生可能エネルギーを100%利用して施設運営を行っており、非常にエコフレンドリーなスタジアムとして知られています。
  • PPL Parkがあるチェスター郡は、フィラデルフィア近郊の町の中でも貧困層の割合が高く、治安も悪いことで知られています。Unionは、現在4つのチャリティー活動(「Help Kick Hunger:チェスター郡内の恵まれない家庭に食料を提供するためのプログラム」、「Wheeled Scotsman Foundation:体の不自由な人達が住みやすい住居に改装することを支援するための組織」、「Go 4 the Goal:癌と闘う子供とその家族を支援するための団体」、「Chester City United:地元チェスターの子供達を健全な道に進ませることを目的としたユースサッカーチーム」)を組織・運営しており、チームを挙げて地域社会貢献活動に取り組んでいます。



参加者の皆様は、Philadelphia Unionを訪問し、PPL Parkを視察して、Cara Joftis氏の講義を受けたことで、実際の事例を通して、地方都市にフランチャイズを置くマイナースポーツチームの球団経営と、スポーツを通した地域振興について学ぶ事が出来ました。参加者の皆様の将来にとって、今回のUnion訪問が必ず有益な経験になると信じております。


3月に実施予定の「アメリカ北東部スポーツビジネス研修プログラム」でも、Philadelphia Unionを再訪問させて頂く予定です。是非ともJリーグやbjリーグへの就職を目指している学生様や、プロスポーツチームの球団経営を専門に研究されている大学教授様に、実際に体感して頂きたいです!


それでは、引き続き振り返りレポートをお楽しみ下さい!


Athletes Dream Management, Inc.ニューヨーク 三宮伸也

0 件のコメント:

コメントを投稿