2011年7月26日火曜日

“最もエキサイティング”な時期の真っ只中です!

MLBもオールスター期間が終了し、レギュラーシーズンも残すところ約2ヶ月間となりました。これからプレイオフ進出を掛けて、ますます熱い戦いが繰り広げられることでしょう。


ところで、レギュラーシーズン後のプレイオフを含めると、約7ヶ月という長丁場に亘るMLBシーズンですが、全米中のベースボールファンの間では、7月下旬は“最もエキサイティング”な時期の1つとして知られるていることをご存知でしょうか?そうです、この7月下旬という時期は、「MLBトレード期限」である731日(正確には東部時間午後4時)が間近に迫り、各球団のゼネラルマネージャー(GM)が昼夜を問わず、活発に交渉を繰り広げている時期なのです(MLBトレード期限に関しての詳細は、こちらを是非ともご覧下さい!)。


なぜこのトレード期限直前である7月下旬が、全米のベースボールファンにとって“最もエキサイティング”な時期であるのかと言いますと、それはプレイオフ進出を目指す球団のファンは勿論のこと、すでにプレイオフレースから脱落している球団のファンをも巻き込んで、各チームの補強戦略についての話に花を咲かせることが出来るからなのです(個人的な意見ですが)。


この時期までの成績によって、各球団を2つのカテゴリーに分類することが出来ます。1つは、下位に沈んでおり、すでにこの時点でプレイオフ進出が現実的でない球団です。このような球団をこちらでは「Sellers(売り手)」と呼び、GMはシーズンオフにFAとなるスター選手をトレードに出し、他球団の若手有望選手を獲得することで来シーズン以降の戦いに備えようとします。プレイオフ進出の可能性が低く、チームへの関心を失いがちなファンも、他球団から将来のエース候補や4番候補を獲得出来るという期待に胸を膨らませることが出来るのです。


もう1つは、プレイオフ進出が現実的である球団です。このような球団は「Buyers(買い手)」と呼ばれ、GMは他球団のスター選手や、ウィークポイントを解消するためのベテラン選手を積極的に補強し、チームのプレイオフ進出、そしてその先のワールドシリーズ制覇というの可能性を高めようとしています。ファンも「先発投手を補強すべきだ!」や、「いや、ホームランを打てる外野手が欲しい!」など、自らがGMになった気分となり、思い思いに盛り上がることが出来るのです。


ESPNでは連日、「Trade Deadline Live」と題して、スポーツライターやアナリスト、そして一般の人がTwitterを活用して、最新トレード情報や各球団の補強ポイントなどを熱く語り合っています!




また、細かく分けると、「Buyers(買い手)」である球団にも2種類あります。1つは、今年是が非でも勝たなければならない球団です。今年で言えば、ミルウォーキー・ブリュワーズがこの球団に当たるでしょう。


ブリュワーズの4番打者であるPrince Fielder選手が今シーズン終了後にFA移籍してしまう可能性が非常に高いため、将来の中心選手となり得る有望若手選手を放出してでも、チームのウィークポイントをトレードで補い、今シーズンに賭けなければなりません。ブリュワーズは、早速オールスター終了直後に、ニューヨーク・メッツからFrancisco RodriguezK-Rod)投手を獲得し、弱点であったブルペンを強化することに成功しました(ちなみにメッツがブリュワーズから獲得する予定の2選手は、トレード時点では決められておらず、今後6ヶ月以内に決めらることになっています。これをPTBNLPlayer To Be Named Laterと呼びます)。このトレードからも、Fielder選手の在籍する今シーズンがチームにとって優勝出来る最大のチャンスである、というブリュワーズの思いが伝わってきますね。


もう1つの「Buyers」は、チーム再建中にもかかわらず、若手選手が急成長し、思いがけず首位争いを演じている球団です。例えば、昨シーズンまで18年連続で負け越しており、今年も開幕前は最下位に沈む(ファンの皆さん、すいません・・・)と見られていたピッツバーグ・パイレーツがこの例に当たります。今シーズンは、Andrew McCutchen選手を筆頭に若手選手が予想以上の活躍を見せており、ナ・リーグ中地区で堂々の首位争いを演じています。


パイレーツファンも久しぶりに盛り上がっており、GMもファンの期待に応えて、プレイオフ進出のために選手を補強したいと考えているでしょう。しかし、GMは、シーズン終了までの2ヶ月間のためだけに他球団のスター選手を補強しようとせず、有望若手選手をチーム内に留め、「毎年優勝争いに絡むチーム作り」という、より大きな目標を見失わないことも重要なのです。


既に来シーズン以降の戦いを見据えている球団、今シーズンに賭けている球団、そしてプレイオフ進出と将来のチーム作りを同時に達成しようとする球団、それぞれGMにとって7月下旬というこの時期は、1年の中でも最も多忙を極める時期なのです。そして、どの球団のファンにとっても、チーム状態にかかわらず、最も盛り上がることが出来る期間でもあるのです。


実際、こちらニューヨークのTV局や地元紙も、今シーズン終了後に7年契約の切れるメッツの中心選手であるCarlos Beltran選手が、どの球団にトレードに出されるのか、そして代わりにどんな若手選手を獲得することが出来るのかを連日報じています。私も、先週末にマンハッタンのスポーツバーでビールを飲みながら、Metsファンの友人と「(同地区のライバルである)フィリーズとブレーブスだけには行って欲しくない!」とか、「アメリカンリーグのレンジャースならいいけど、あそこは有力な若手選手がいないからな~。」など、あーだーこーだと時間を忘れて語り合ってしまいました。

*地元ニューヨークのタブロイド紙である「NY Daily News」も、Carlos Beltran選手のトレード先を予想!




このように、MLBトレード期限前は、全米中のベースボールファンに関心と希望を与えてくれる時期でもあるのです。これから731日に掛けての1週間は、多くのトレードの噂が浮かんでは消え、その内の一握りのトレードが成立し、その度に速報が入る毎日が続きます。皆さんも是非、トレード期限前のこの“最もエキサイティング”な時期を思い思いに楽しんでみて下さい!


ニューヨークスタッフ 三宮 伸也


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