2010年12月23日木曜日

Social Mediaとスポーツビジネス

常に斬新なアイディアが生み出される米国スポーツビジネス業界ですが、どうやらNBAフェニックス・サンズが、“革新的な”アプローチを用いて新たなスポンサー獲得を試みているようです。


サンズの考え出した、この 「Suite and Social Night」と呼ばれるマーケティング戦略は、予算の多くを広告費に割り当てることの出来ない中小企業を対象として、スイートルームを1試合分貸し出し、サンズの試合を“サンプル”してもらおうという企画です。「Suite and Social Night」を購入した企業は、従業員の士気向上のために、サンズの本拠地US Airways Centerで社内パーティーを開催することも出来ますし、日頃からお世話になっているクライアントや潜在顧客をサンズの試合へと招待し、スイートルームでもてなすことも出来ます。


なかなかお値段的に手の出し難い年間スイートルーム契約ですが、1試合ずつに小分けすることにより、中小企業にとっても十分手の届く範囲内になります。また、サンズにとっても、これまでなかなかスポンサーにはなり得なかった、地元中小企業という新たな顧客層からの収入源を確保することが出来ますし、あわよくば「Suite and Social Night」を“サンプル”した企業が将来的に年間スイートルーム契約を購入してくれれば、といった思惑もありそうですね。


気になる「Suite and Social Night」のお値段ですが、スイートルーム1室、チケット20枚、駐車許可証6枚、スイートルームでの食事代、人数分のサンズの帽子、そしてサンズのスター選手であるSteve Nash選手の試合用ユニフォーム1枚を併せて、1試合$7,000となります。このお値段ならば、バドワイザーやペプシといった大企業でなくても、十分広告費として予算を捻出出来そうですね!


と、ここまで読んで来られた皆様の中には、「一体このマーケティング戦略のどこが“革新的”なんだ?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?実は、この「Suite and Social Night」の斬新かつ面白いところは、購入した企業が上記に挙げた、いわゆる“ありきたりの特典”に加えて、サンズの持つ“Social Media”をフル活用出来る点にあります。


具体的には、購入企業は、サンズのSocial Mediaを以下の様に活用することが出来ます。

  • フェニックス・サンズのFacebook(ファン238,765人:2010年12月22日現在)のStatus Update上で、2回、自社を宣伝することが出来る。
  • フェニックス・サンズのTwitter(フォロワー46,511人:同じく2010年12月22日現在)上で、3回、自社について、つぶやくことが出来る。

これなら、サンズにとっては新たに費用が掛かることはありませんし、スポンサー企業にとっては、アリゾナ住民の多くがファンやフォロワーとして登録するサンズのSocial Mediaを活用し、自社製品を効率的にプロモートすることが出来ますね!



全米4大スポーツリーグの中でも、初めてSocial Mediaとスイートルームをセットにして売り出した、この「Suite and Social Night」ですが、すでに幾つかの地元企業が購入しているようです。このようなアイディアならば、すぐにでも日本のプロスポーツチームも真似することが出来るのではないでしょうか。


今後もこういった米国スポーツビジネスの面白そうな“ネタ”がありましたら、どんどん紹介して行きたいと思いますので、是非お楽しみに!
それでは皆さん、良いクリスマス&年末・年始をお過ごし下さい!!!

(ADMニューヨーク・スタッフ 三宮 伸也)

0 件のコメント:

コメントを投稿