2010年12月31日金曜日

チケットの値段をファンが決める?

米国スポーツビジネス界には、スポーツファンのために数多くのチケットセールス・サイトが存在しています。例えば、多くのプロスポーツチームが、オフィシャル・チケットセールス契約を結ぶ「Ticketmaster.com」や、直接チームからチケットを購入するのではなく、ファン同士がチケットを売買することの出来る(いわゆる、「Secondary Market」ですね)「StubHub!」などが有名です。私も、スポーツ観戦に出掛ける際には、球場やスタジアム、アリーナのチケット窓口に並んでチケットを購入する事はほとんどなく、主に上記2つのサイトを利用して、事前にチケットを購入しています。



このように数多く存在する米国のチケットセールスサイトの中で、今回ご紹介するのは、「ScoreBig.com」というサイトです。「ScoreBig.com」が、他のサイトと違って非常にユニークなのは、「ファン自身がチケットの値段を決めることが出来る」という点にあります。


と言っても、全てのチケットが$1で購入出来るわけではありません。具体的に「ScoreBig.com」は、以下のような仕組みとなっています。


  1.  先ずは、観戦したいスポーツイベントを選ぶ。
  2. 球場(あるいは、スタジアム、アリーナ)内の座りたい「セクション」を選ぶ(「セクション」を指定することは出来ますが、「座席番号」を正確に指定することは出来ません)。
  3. 選択した「セクション」内のチケットに対して、自分が支払いたい値段を決め、サイト上に入力する。
  4. 入力後すぐさま、自分のオファーした金額が、「ScoreBig.com」によって受け入れられたのか、あるいは拒否されたのかが画面上に表示される。
  5. オファー額が受け入れられた場合には、定価よりも安くチケットを購入することが出来る(サービス料、送料も一切掛かりません)。
  6. 逆に、一旦オファー額が拒否されると、再度同じイベントにオファーするためには、24時間待たなければならない。

つまり、NBAのコートサイドや、MLBのバックネット裏という高額のチケットに対して、あまりに低額なオファーを出したとしても、拒否される確率は非常に高くなります。この点に関して、「ScoreBig.com」では、同じようなイベントに対して、過去にどのくらいの値段が受け入れられたのかを表示してくれますので、ファンはその「参考値段」を基に、オファー額を決断することが出来ます。


チームとしては、定価では売れ残ってしまう運命にあるチケットを売ることによって、球場(スタジアム、アリーナ)をファンで埋めることが出来ますし、ファンとしては、定価よりも安くチケットを入手して、お金をセーブすることが出来ますので、正に双方にとってWin-Winの関係ですね!


実はこのような手法は、旅行業界ではかなり前から一般的であり、代表的なサイトとして、「Priceline.com」や「Hotwire.com」などが挙げられます。つまり、このようなサイトが、売れ残っているホテル・ルームや、航空チケットを集めて、定価よりも安くお客様に代理販売するのです。ホテルや航空会社にとっては、ルームや座席の占有率が高くなればなるほど利益は出る訳で、「空室(空席)になるくらいであれば、定価よりも安くて良いから、売り切ってしまおう!」という考えですね。


スポーツ球団にとっても、球場(スタジアム、アリーナ)に集まるファンが多くても少なくても、それほど掛かる経費は変動しません。それならば、「チケットの値段を下げてでも、座席を埋めてしまおう!」と考えになるのも普通かも知れませんね。加えて、こうして集まったファンは、非常に高い確率で、試合中に飲食したり、お土産を購入したりしてくれるため、こういった部分でチケットの値下げ分もカバー出来る訳です。


ScoreBig.com」は2009年に創立されたばかりであり、現在はまだメンバー専用サイトとなっています(メンバーになるにはWaiting Listに名前を載せて、招待が届くのを待つ必要があります)。しかし、スポーツファンにとっては、このようなユニークな仕組みを持ったチケットセールス・サイトが新たに出現したことにより、決して安価とは言えないスポーツ観戦が、また一段と身近になったと言えるでしょう!





さて、ここニューヨークも2011年まで残り4時間余りとなりました(日本の皆様、明けましておめでとうございます!)。本年度も「スポーツマネジメント from USA」をご愛読頂き、誠に有難うございました。2011年も、我々ADMスタッフは、全米中を西へ東へ駆け回り、「リアルな現場話」と「米国スポーツ最新情報」を発信して行きたいと考えております。来年度も是非、宜しくお願い申し上げます!


(ADMニューヨーク 三宮 伸也)

0 件のコメント:

コメントを投稿