2010年12月20日月曜日

サッカー座談会 ~育成・環境について~

サザンニューハンプシャー大学、学生ブログライターの明石貴祐です。

2週間前に今タームを終了し、現在は日本へ一時帰国しております。先日順天堂大学Club Leven Soccer Community主催の「サッカー座談会」に参加してきたので今日はこのイベントの紹介、及び報告をさせていただきたいと思います。


このイベントは日本の子供たちのために、そして日本のサッカーの未来のためにどのような環境を整えるべきなのかということをゲストを交えてディスカッションするというものです。イベントの詳しい内容は以下の通りです。


① 講演 

《講演者》
祖母井秀隆 氏(元ジェフユナイテッド市原・千葉GM、元グルノーブル・フット・38)


② ディスカッション

《パネラー》
祖母井秀隆 氏(元ジェフユナイテッド市原・千葉GM、元グルノーブル・フット・38)
池上 正 氏(NPO法人I.K.O市原アカデミー代表)
渡辺泰男 氏(ヴィヴァイオ船橋サッカークラブ、(株)ネケッツトータルサービス代表)

《コーディネーター》
吉村雅文(順天堂大学蹴球部監督、NPO法人Leven代表)


③ 親睦会

ディスカッションのセクションでは日本のサッカーの育成現場における様々な問題点や課題を取り上げ、各パネラーの方々で議論し、さらに閲覧者からの質問にも答えるという流れで進行されていました。様々な意見が飛び交っていましたが、祖母井氏がされた発言が非常に印象深かったので今回はその内容の一部を簡潔に紹介させていただきます(細かいディティールは少し異なるかもしれません)。


祖母井氏は最近日本に帰国し、そのときの日本のサービスの良さに驚いたそうです。それは日本の空港に降り立ったときの出来事です。空港に降り立ちエスカレーターに乗ると行き先やものの配置について、標識やアナウンスが親切すぎるくらいの情報を提供し、さらにグランドホステスが丁寧に案内をしてくれる。乗客は何の心配もない環境にいる。これは日本のサッカーの育成環境にも悪い意味で同じことが言える。時代を重ねるごとによりよい練習、試合環境(インフラ等)が整えられ、細かい練習内容も自分で考えればすぐわかることなのにもかかわらず指導者たちが丁寧に教える。これでは自分で判断し、工夫する力が育たない。


また異なる例としてジェフ千葉のGMをされていた頃のお話をされていました。当時ジェフ千葉では試合日に3人のトレーナーをつけていたそうですが、マッサージ等をしてもらうため順番待ちをする選手の態度は決して良いものではなかった。それに比べグルノーブルに所属する選手の姿勢は正反対だった。グルノーブルのアウェイゲーム時のトレーナーの数は1人だけだったが、それにもかかわらず選手は一切不満を言うことはなく、簡単なものならば選手自身でオイルを足に塗りマッサージを行っていた。つまり大事なことは選手のために環境を整えることではなく、自分で判断する能力やメンタル(工夫しようとする精神)を育て上げることである。そしてそのような環境はすべて大人(指導者)が整えなければならない。このようなことをおっしゃっていました。


私を含め参加者は200名程度おり、参加者層は現役の指導者の方々だけではなく将来指導者を志している学生やサッカーをするお子様を持つ親御さんも多く見られました。またイベントの運営や司会進行は順天堂大学の学生によって進められ、学生でありながらイベント運営を経験できる貴重な場でもありました。


このような教育機関、地域、そして実際に現場でプロフェッショナルで働かれている方々同士が交流し、日本サッカーの未来について真剣に考える場は極めて重要であると思います。特に選手育成とその選手の親御さんの間の繋がりは切り離せません。なぜならば、アメリカでもそうですが少年少女サッカーは家族のサポート無しでは考えられず、育成という面においても親御さんの存在は大きいものだからです。よってその親御さんを交えて現場の方々と議論を交え育成におけるビジョンや方向性、想いを一致させようとすることは不可欠です。


このようなイベントに参加したのははじめてでしたが非常にいい経験になりました。また親睦会ではスポーツ関連で働かれている方々からもお話をお伺いすることができ、非常に有意義な時間となりました。今後もこのようなイベントには積極的に参加していきたいと思います。


明石貴祐
サザンニューハンプシャー大学
M.S in Sport Management

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