2010年6月16日水曜日

選手マネジメント業務の1コマ~医療・健康保険編 Part3

Athletes Dream Management, Inc.ニューヨーク・スタッフの三宮 伸也です。


先々週より2週に渡って御紹介させて頂いている「選手マネジメント業務の1コマ~医療・健康保険編」も、ついに今回で最終回となります。1週目のPart1では「日米の健康保険の違い」、2週目のPart2では「ADMスタッフが、実際にどのようなやり取りを保険会社と行っているのか」をそれぞれ簡単にですが、書かせて頂きました。最終回であるPart3のエントリーでは、「ADMスタッフが『保険の代理人』として、選手とその御家族のために、実際にどのようにして保険申請を行っているのか」を御紹介させて頂きたいと思います。


Part2で御紹介させて頂いた通り、保険会社に対して保険請求を行う必要性は、診察後に、患者が自分で医療費を支払った場合に起こります。この際、必ず忘れずに行うべきこととして、窓口で診察代を支払う際に「Itemized Bill(内訳勘定書)」と呼ばれる、医師の診断と医療費の両方が書き込まれた書類を受け取ることが挙げられます。「Itemized Bill」をより具体的に説明しますと、「Consultation(初再診)」や「Examination(検査)」、「Operation(手術)」、「Hospitalization(入院)」、「Injection(注射)」などの細かな項目と、それぞれに対して幾ら医療費が掛かったのかが書かれているレシートのようなものです。保険会社に保険を申請する際には、この「Itemized Bill」と共に、「Claim Form」と呼ばれる「支払い請求書用紙」を送る必要があります(「Claim Form」は、保険会社に問い合わせることによって、取り寄せることが出来ます)。


実際にこれらの書類を保険会社へと郵送する前に、万が一のトラブルに備えて必ずコピーを取り、大切に保管しておきます。また、保険会社に郵送する際は、「Certified Mail(受取証明郵便)」と、「Return Receipt(書留郵便物受領通知)」を必ず利用するようにしています。「Certified Mail」を用いることによって、何月何日に書類を郵送したかを証明するレシートが郵便局から発行され、且つ郵送した書類をトラッキングすることが可能なためです。また、「Return Receipt」を利用することにより、受取先(この場合には、保険会社です)が書類を受領した証拠として、スタンプの捺された緑の葉書が送付先(この場合には、私です)へと戻って来るのです。これらの「Certified Mailのレシート」と、「Return Receiptの緑の葉書」も、トラブルが起こった時に備えて、必ず大切に保管しておきます。

【上からそれぞれCertified Mail、Return Receipt(裏表)のサンプル画像】

実際、私も保険申請時のトラブルに巻き込まれた回数は数知れずです。例えば、選手とそのご家族のために、保険申請をした際に、なかなか保険がおりなかったため、心配になり、保険会社に状況を問い合わせた所、「そのような書類が届いている記録は一切ない。」との返事が返って来たことがありました。この時は、「Itemized Bill」と「Claim Form」のコピーと共に、「Certifiled MailのReceipt」と「Return Receiptの緑の葉書」のスキャン画像をメールに添付して、保険会社に至急送り、「何月何日に、どのような書類を郵送し、何月何日に保険会社が受け取った」という“動かぬ証拠”を提出し、その後の流れをスムーズに進めることが出来ました。


以上は、米国内で、選手、御家族が医療行為を受けた場合の保険申請手続きです。しかし、オフシーズン中に帰国することの多い選手と御家族は、日本国内の病院・医師から診察を受けることも多いのです。「Major League Baseball Players Benefit Plan(メジャーリーグ選手のための福利厚生プラン)」の加入する保険は、米国外の医療行為に対しても、保険が効きますので、クライアントには、詳細な診察内容の書かれたレシートを必ず病院・医師から受け取るようにお伝えしています。オフシーズンを終え、スプリングトレーニング開始前に米国に戻って来た際に、オフシーズン中に溜まったレシートをクライアントから預かり、Claim Formに必要事項を記入して、保険会社へと請求します。勿論、レシートは日本語で記入されていますので、英語へと翻訳するのも、ADMスタッフの重要な「保険代理人」としての業務です。英語訳には、基本的な情報(患者名、診察日)等に加えて、出来るだけ詳細な症状、及び治療内容を書き記す必要がありますので、時には日本の病院・医師へと国際電話を掛け、ヒアリングすることもあるのです。


このような手続きを経て、ようやく保険申請書が保険会社に届いてから約4~6週間後に、小切手がクライアントの下へと郵送され、無事に保険申請が完了となります。先週更新したPart2にも書きましたが、米国で医療を受ける上で最も煩わしいとされているのが、この医療費の支払い戻し手続きです。米国の保険制度に慣れておらず、且つ言葉の壁が存在するため、多くの日本人にとって、非常に骨の折れる作業だと感じております。また、米国では、何事にもトラブルは付き物です。トラブルに会わないために、Claim Formの記入ミスや、英語翻訳時の必要情報漏れなどを無くすことに細心の注意を払っています。しかし、どれだけ気を付けていてもトラブルは起こってしまう時には起こってしまうものです。一旦トラブルが起こってしまえば、粘り強く交渉する必要があり、余計に神経をすり減らす結果となってしまいます。選手にはOn-Field上のパフォーマンスに集中して頂くためにも、そして選手を最も身近で支える御家族には安心して米国生活を送って頂くためにも、これからも我々ADMスタッフは誇りを持って、選手マネジメント業務に従事して行きたいと思います。

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