2011年1月9日日曜日

マラソン人気をビジネスに~アシックスの取り組み~

新年明けましておめでとうございます。サザンニューハンプシャー大学の明石貴祐です。今年もADMブログを通してさまざまな情報を発信してきたいと思っているので宜しくお願い致します。

日本のマラソン人気は2007年の東京マラソンからブームに火が付いたと言われ、毎年その人気やマラソン人口は上昇しています。現在の娯楽にお金をかけられない世の中では、シューズ一つで参加でき自分のペースで楽しめ、気軽にいつでもどこでもできるといったところがニーズにマッチしているのかもしれません。

では日本のマラソン人口はどのくらいいるのでしょうか。ランニングマガジン「クリール」によると年間で1回以上マラソン(ジョギング)を楽しむ人は2600万人。(5人に一人の割合)そしマラソンを月一回以上楽しむ人は335万人。(100人に2人)年間で一回以上フルマラソンを走ったことがある人は10万人。(1000人に一人弱)

年齢の高い部分を調べると

2007年青梅マラソン参加人数 15656人

70歳以上のランナー 300人弱

60歳~70歳      900人強

50歳~60歳     1200人強

50歳以上で15.3%も占めています。市民マラソンにもいい意味での高齢化が進んでいるようです。

そして、東京マラソン(2010年2月21日開催)では
フルマラソンは3万2000人の定員に対し27万2134人(競争率8.5倍)
10Kmマラソンは定員3000人に対し3万9307人(競争率13.1倍)の応募があったそうです。
つまり合計で31万1441人の応募があり、日本の人口が1億2776万人ですので500人に一人は応募している計算になります。やはり日本のマラソン人気は高いと言えるでしょう。

そのブームにビジネスチャンスを見い出し、各スポーツメーカーも現在ランニング事業に力を入れて取り組んでいます。スポーツメーカーのアシックスは2007年2月にランニング用品専門のアシックスストアを銀座と原宿にオープンさせました。先日その銀座のアシックスストアに足を運んだのですが、面白いものを発見したので紹介させていただきます。それは「アシックス・ランニングラボ」という様々な測定を通してお客様(ランナー)の特徴を客観的に捉えるための有料サービスで、ランナーの足を科学的に4つの側面から分析し適切なアドバイスを提供することを目的としたものです。



サービスの流れは以下の通りです。

① 測定ガイダンス(15分)

② ランニング能力測定(1時間30分)

③ 測定結果説明(30分)


                          【測定中】

ランニング能力測定では以下の目的のため、4つの側面(体格的側面、筋力的側面、動作的側面、持久的側面)の分析ため様々な測定をします。

・ 最適なシューズサイズを選ぶ

・ ランニング時に負担のかかる場所やケア方法を知り、怪我のリスクを減らしパフォーマンスの向上につなげる

・ 体を構成する筋肉、脂肪、骨などの成分の重量を測定し、そこから体脂肪率を調べる。

・ ランニング時の着地衝撃を支える脚力、ひざの曲げ伸ばしの筋力に注目し、10段階で評価され、自分の脚力を知り、より効果的な練習につなげる

・ カメラを4つ配置し、着地時のかかとやひざの傾斜や向きを調べることでランニング障害の可能性を計ったり、腰から上の体の使い方を見ることでパフォーマンス向上に繋げる

・ 呼吸代謝を計る機能をつけ、どの段階で有酸素運動が無酸素運動に変わるのかを調べフル  マラソンの完走時間を知る

測定後は自分の走行姿が見れるDVDと結果シートがついてきます。昔のようにただ商品の説明をして売るだけではなく、お客様一人一人の特徴や改善点を調べそれを情報という商品として販売する。またそれによって最適な商品の選択も可能にする。技術の進歩によってモノをつくるメーカーの仕事の幅も広がっているのだと感じました。



しかし一方で値段はDVD込みで21,000円だそうです。非常に素晴らしいサービスだと思いますが、果たして需要はあるのかという印象を受けました。そもそもマラソン自体低価格で参加できることが売りなのにこのような高額なサービスはニーズに合っているのかという疑問が浮かびます。毎年頻繁にマラソンに参加しているような玄人ランナーにとっては自分の走りを追及するという目的で需要はあるかもしれませんが、たとえば家族で健康のためにゆっくり走ることを目的としているランナーにはどうでしょうか。そして最初のデータでも示したとおり市民マラソンの高齢化も進み、マラソン人口の多くはこの玄人ランナーではない人たちだと思います。


明石貴祐

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