Wayne State Collegeの波多野です。
今回のブログでは、先日立ち寄ったコロラド州デンバーについて紹介したいと思います。コロラド州はネブラスカ州から南西に車で8時間の場所にあります。このコロラド州デンバーには、MLBのコロラド・ロッキーズや、NFLのデンバー・ブロンコス、NBAのデンバー・ナゲッツ、そして今注目のMLSのデンバー・ラピッズが本拠地を構えています。僕がスタジアムツアーに参加したのはその内の2つですが、日本のスタジアムにはない工夫や、市を含めてのスポーツ産業の発展を紹介したいと思います。
最初に訪れたのは、赤レンガと太い鉄骨の建築で知られるクアーズ・フィールドです。このクアーズ・フィールドは、コロラド・ロッキーズの本拠地でもあり、標高1マイル(約1600メートル)の場所にあることから、通称『マイル・ハイ』と呼ばれています。この『1マイル』というのがこのブログのキーワードになりますので、しっかり覚えていて下さい。
元々、デンバー市にはメジャーリーグのチームがありませんでした。長年の街の願いでしたが、実際に1991年に新球団としてコロラド・ロッキーズを誘致するまでには30年という時間もかかりました。そのロッキーズの誘致を決めたデンバーでしたが、1991年当時から1995年までは、現在のデンバー・ブロンコスの本拠地であるマイル・ハイ・スタジアム(当時)を本拠地としていました。しかし、ボールパークを作りたいというオーナーの思いに市や郡の援助を受け、このクアーズ・フィールド建設に至りました。この赤レンガが使用されたのも、歴史を感じさせるデンバーの街並みにマッチするようにという理由で使用されました。
そして、その当時からのネーミングであった『マイル・ハイ』、つまりキーワードの『1マイル』がここから多いに関わってきます。この上の写真ですが、写真やや上部の座席が1列だけ紫色になっているのが分かりますでしょうか? これは、この球場にも残されている歴史の証、『マイル・ハイ・シート』です。この席は2階席上段に位置しますが、標高1マイルで野球観戦が出来るのは、このクアーズ・フィールドだけです。
その他にも、バックスクリーン上段に設けられた観客席、通称『Rockpile(堆積した岩)』では、ボールバーク建設以来、チケットの値段がそのままで保たれているという人気席です。チケット価格は、大人は1人4ドル(約400円)、子供は1ドル(約100円)という、まさに歴史を重んじたプロモーションをしています。この『Rockpile』席ですが、コロラド州のから眺望できるロッキー山脈のイメージに合わせて作られたそうです。
写真の真ん中、バックスクリーン上段にある『Rockpile』
クアーズ・フィールドでしっかりと『1マイル』について学んだ後は、NFLデンバー・ブロンコスの本拠地である『スポーツ・オーソリティ・フィールド・アット・マイル・ハイ』へと向かいました。2011年までは『インベスコ・フィールド・アット・マイル・ハイ』という名前でしたが、2011年から現在の名前に変わりました。その理由には、2001年に20年120億円というスタジアムの命名権を買ったインベスコ・ファンドでしたが、大手スポーツ用品販売業の『Sports Authority』が残りの10年の命名権を買い取り、インベスコ・ファンドは2021年までに32億円の解約金を支払う契約で、命名権をインベスコから買い取った形となりました。
Sports Authority Filed At Mile High
マイル・ハイ・スタジアムが開場し50年以上が経った1998年、ブロンコスはチームの経営を立て直す策として、新スタジアムの建設を希望するようになります。そして、住民投票の結果により地元の住民にも特別消費量として0.1%が建設資金として科される事になりました。こうして地元の住民達の協力を得て建設が進められた新スタジアムは、2001年8月のNFLプレシーズンにて開場しました。 1993年のロッキーズのメジャーリーグ参入後初の試合は古いスタジアム(マイル・ハイ・スタジアム)で行われ、80,227人もの観客を動員しました。
United Airlineによるアップグレードを終えたUNITED ラウンジ
その他にも毎年のようにスタジアムはアップグレードされていて、現在ではシーズンチケットを保持している人だけが入る事が出来るラウンジや、ラグジュアリー・ルームと呼ばれる『貸切りグループ席』が多く設けられています。このラグジュアリー・シートはこの数年で多くのスタジアムに設置されるようになりました。その大きな理由には、地域の企業との関わりを強める為や、大幅な収入を見込めるからです。このスポーツ・オーソリティ・アット・マイル・ハイでは131部屋のラグジュアリー・ルームが設けられていて、それぞれの収容数は25人程度となっています。ここで気になるのがラグジュアリー・ルームの値段ですが… 1シーズンで$15,000(約150万円)という価格ですが、ブロンコスが本拠地で試合をするのは1シーズンで最大10試合となります。この契約ですが、1年での契約は出来ないようです。契約期間は2年、4年、6年という期間になっていて、支払いも1度に行わなければなりません。 このようにスタジアム自体のアップグレードをすることで集客数を増やす事が出来る他、チームとしての市場価値も高める事が出来るという説明を受けました。
そして、このスタジアムでも『1マイル』がポイントとなっています。スタジアムのグラウンドに降りる際に見える壁にも、しっかりと『1マイル』が表示されています。
グラウンド入口にもある、『1マイル』の表示された壁
その他にも、このスタジアムには合計で5つのロッカールームが設置されています。その内訳は、1つはビジターチーム、1つはブロンコスのチアリーダー用、そしてサッカーやラクロスの試合の時に使用されるロッカールームが2つあります。その4つは普段から使用されているのですが、1つだけ特別なロッカールームがあります。それは、ブロンコス専用のロッカールームです。このロッカールームには関係者も入れませんし、シーズン中以外に使用される事がないそうです。勿論、スタジアムツアーでも立ち入ることは出来ませんでした。
そして、スタジアムで1番と言ってよい程の手間がかけられているのが綺麗に苅り揃えられた天然芝です。スタジアム建設当時、この天然芝の苗をフィールドに植え込む作業に、24時間休みなく作業をしても21日間かかったそうです。その理由には、柔らかい芝生を育てる為、温度調節の出来るパイプや、苗の根が巻き付き強く育てる為に支柱を埋め込んでいるそうです。その為、サッカーグラウンドでよく見られる芝生の一部が選手のスパイクによって剥がれる事が、このスタジアムでは見られる事が少ないそうです。冬にはかなりの雪が降るコロラドで、これだけ綺麗な芝を育てるには手間がかかる事だと思いました。
綺麗に苅りそろえられた芝(Sports Authority Field At Mile High)
綺麗に苅りそろえられた芝(Sports Authority Field At Mile High)
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